絵本紹介(40) オットー 戦火をくぐったテディベア
2013-10-13


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題名   :  オットー 戦火をくぐったテディベア
文     :  トミー ウンゲラー
絵     :  トミー ウンゲラー
訳     :  鏡 哲生
出版社  :  評論社

 今日「あぷりこっとつりー」でじっくり絵本を楽しんでいって下さった2組のお客様。
 私が好きでこの絵本紹介で取り上げたことのある「サウスポー」、「きみは太陽のようにきれいだよ」、「3びきのかわいいオオカミ」をお買い上げいただきました。自分がいいなぁと思って気に入った絵本を買っていただくと、別にブログを読んでいただいたわけでもないのに、なんかヨッシャッ!と心の中でガッツボーズ作っちゃいます。変ですね。

 今回ご紹介の絵本は実話を題材に描かれた絵本です。それなのに、こんなことが世の中に本当にあるの?と運命の力の不思議さを強く感じさせられる絵本です。

 物語は第二次世界大戦前夜のドイツを舞台に始まります。
 ユダヤ人の子供デビッドは誕生日に両親からテディベアをプレゼントされて、オットーと名付けました。
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 デビッドにはアパートの同じ階に住むオスカーというドイツ人の親友がいました。二人はいつもオットーで遊ぶようになって、ある日オットーに字を書かせようとして、インクで頭を汚してしまいました。
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 でも楽しい日々は長続きしませんでした。
 ある日黒いコートや軍服を来た男たちが押し寄せてきて、デビッドと両親をトラックに詰め込んで連れ去ります。別れ際、デビッドは「オットーのこと、よろしくたのんだよ。」とオスカーにオットーを託しました。
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 やがて戦争がはげしくなって、オスカーはオットーを抱えて防空壕に避難中爆撃に会って、オットーは爆発の勢いで防空壕から吹き飛ばされてしまいます。
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 さらに戦闘は激しさを増して、オスカーの街でも兵隊同志の撃ち合いが起こります。そんな中、瓦礫の上のオットーを知らずに踏みつけたアメリカの兵隊が、オットーを拾い上げた瞬間に狙撃されてしまいますがオットーが盾になって兵隊は命拾いします。
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   戦争が終わって兵隊は命の恩人のオットーをアメリカに連れて帰って娘のお土産にしますが、近所の悪ガキに取られてなんと捨てられてしまいました。
 でも偶然捨てられたオットーを見つけたホームレスのお婆さんによって、オットーは骨とう品屋に売られます。
 オットーが戦争前のドイツで作られた本物のテディベアであること見抜いた骨とう品屋のオジサンは、ボロボロだったオットーをきれいに洗ってつくろってショーウインドウに飾りました。
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 何年か経って、一人の年老いた観光客がそのショーウィンドウの前で長い間クマのぬいぐるみを見つめていました。その人はオスカーでした。
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 オスカーとオットーの再開物語が新聞記事になると、驚いたことにデビッドとも連絡が取れたんです。 デビッドは収容所から奇跡的に生きて還って、アメリカで暮らしていました。そしてオスカーとオットーの新聞記事を読んで、すぐにオスカーに会いに来てくれました。
 デビッドもオスカーも戦争で家族をみんな失い、お互い独りぼっちでした。そこでそれからオットーを含めて3人で静かに暮らしていくことにしました。
 3人ともそれぞれに悲惨な戦争の禍をくぐり抜けて、やっと今、平凡だけど平和な暮らしを手に入れることができたのです。
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[絵本]

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