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題名　　 ：　ぬ〜く　ぬく
文　　　　：　飯野　和好
絵　　　　：　山本　孝
発行所　：　農山漁村文化協会

　タイトルからしてホッとさせてくれる絵本ですが、軒先でお陽様をたっぷり浴びておいしくなっていく大根と薩摩芋が会話する物語なので、タイトルどおりポカポカ陽気の心地良さを思い出しました。
　全編中国地方か四国地方の方言で語られているところも、味があってとても素敵な絵本でした。

　 　いつもご紹介する絵本では「出版社」を情報に加えるのですが、一般社団法人農山漁村文化協会は果たして出版社と呼んで良いのかわからなかったので、絵本に記載された「発行所」をそのまま使わせて頂きました。

　ここは、とある小さなお寺の境内。（とある、というのが良いですねぇ。どうやら愛媛県のようですが。。。）
軒先に吊るされた干しだいこんと、縁側に広げられた干しいもが、穏やかな秋の陽を浴びながら話をしています。
　「干しいもさん、ちと　聞きたいんじゃがのう。」
　「なんねぇ？」
　「あんたぁ　なんして　そう、ひらべったぁ切られてほされとるん？」�禺画像] 「わしゃ　ふかされてのう　それから切られたんじゃあ。　あんたと　ちがうんじゃ。」

　だいこんにケチをつけられたように感じた干しいもは、言い返します。
　「あんたこそ、　そこでブラブラしちょるが　手もくわえられんで、まるのままじゃろうに！」
　するとだいこんは、
　「わしゃ　これから　ええぐあいになるんじゃけん。つけものになるんじゃ。」�禺画像]

　それからだいこんは、これから自分はたくわんや壺づけのおいしい漬物になる！あんたは干しいもしかなれんだろうと干しいもに自慢します。

　すると干しいもは、これから自分は「こー（粉）」噴いてもっとおいしくなるんだ。それにあんたは知らないけど、私にはいもきんとん、いもようかん、それにアイスクリームまで、人気者の兄弟がいっぱいいるんだと自慢し返します。�禺画像]

　どちらも譲らぬ自慢話。このまま険悪になって喧嘩がはじまるのかぁーっ？と思ったら、 �禺画像]　「まぁ、　あんたも、　わしも　おたがい　ひとにすかれるんよ。」と互いに良いところ認め合って、何事もなかったかのようにまた穏やかにポカポカの陽に干され続けました。

　 　ね、のどかな話でしょう？
瀬戸内の柔らかな日差しが目の前にあるようです。

　みんな自分が一番と思って自慢するんですが、おまえより俺がすごいと比べ始めたら、どちらが上か勝負しなきゃならなくなりますよねぇ。
　それより、軒先の干しだいこんと干しいもみたいに「俺もすごいけどあんたもやるねぇ、頑張ろうぜ兄弟！」となれば喧嘩も、ヘイトスピーチも、戦争も起こらないのにねぇ。

　昔「あんたかてアホやろ？　うちかてアホや、ほなサイナラ」っていうギャグありましたが、好きだなぁ〜その世界観。ちょっと違うかな？