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題名 : このあと どうしちゃおう
作 : ヨシタケシンスケ
発行所 : ブロンズ新社
「りんごかもしれない」「りゆうがあります」などなど、出すたびに大ヒットを飛ばしている絵本作家ヨシタケシンスケさん。今回はそのヨシタケシンスケさんの最新の絵本で、タブー視されがちな老いと死を明るく扱ってくれています。
主人公の男の子は、おじいちゃんが亡くなったあと部屋を片付けていて、「このあと どうしちゃおう」という題名のノートを見つけました。
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そこにはおじいちゃんの、死んだらどうなりたいか、どうしてほしいか、が、いっぱい書いてありました。
例えば、このあとの予定として、死んでから後の自分がたどるであろう道のことが書かれています。
死ぬ→まずゆうれいセンターへ→透明になる→透明になったら、しばらくみんなの様子を見る→気が済んだら天国へむかう→天国はなんでもあるし、気候はいいし、快適→でも、そろそろ天国にも飽きたら生まれ変わりセンターへ→生まれ変わりセンターで好みの生きものに生まれ変わらせてもらう→生まれ変わってこの世に戻って来る。
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こんなにはっきりスケジュールがわかっていれば、死んだ後が怖くなくなりそうです。
因みに、おじいちゃんは天国に出かける時の持ち物として、帽子、双眼鏡、読みかけの本、ハンカチ、リュックに神様へのお土産を準備。
リュックの中身はばんそうこう、ビニール袋、カメラ、きがえ、タオル、歯ブラシ、チョコレートに枕。神様へのお土産はお酒、裏山で採れた栗、けっこう難しいパズル。 すごく緻密です。
けど、みんな天国に行けるわけではなくて。。。いじわるなアイツは地獄へ。
地獄は、恐ろしい!
例えば、トイレが1個しかない。(ウヮァー!順番待っている間に。。。)
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毎日柔軟体操をさせられる。(やめてぇ〜)
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誕生日のプレゼントが注射。(歳をとるのがコワイ!)
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それから。。。 どれもこれも堪えられない怖いことばかり。
毎日の日課だって、有名な賽の河原の石積どころじゃない、チョー面倒くさくて細かい作業ばかり。私的には絶対に地獄にだけは行きたくなくなりました。
男の子はおじいちゃんのノートを見ているうちにワクワクしてきて、なんだか天国に行くのが楽しみになってきました。おじいちゃんは死ぬのが楽しみだったのかしら?
そこで気づきます。
もしかしたら、逆だったのかも。
もしかしたら、おじいちゃんは死ぬのがとても怖かったから、楽しいことをたくさん考えたのかも。死ぬのが怖くないように。。。
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絵本というと子供のものと思いがちですが、この絵本は子供よりも大人。とくにお年寄りほど共感を得られそうな内容です。
怖くて思い悩んだり、宗教に救いを求めがちな死という現象。貧乏人もお金持ちも、庶民も権力者も みんな必ず1回ずつ経験します。
終活という言葉が市民権を得てまだ新しいですが、死んだ後自分がどうなりたいか考えて行動してみるというのも、あんがい生きがいにつながるかもしれませんね。
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